なんでも今日6月20日は『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の主人公緋村剣心の誕生日らしいですね。おめでとうございます。なぜかるろ剣キャラって誕生日は剣心だけ日付が判明しているんですよね。不思議。
というわけで昨年の夏に開催された「るろうに剣心展」に行った時の思い出話を書いていこうかと思います。ちょうど我が地元新潟が作者の和月伸宏さんの出身地という縁もあって開催されたのは幸運でした。こないだぽからじ感想でもちょっとるろ剣展には触れましたし。
実は一度るろ剣展の話は前のブログで書いたんですが今回はそのリマスター版ということで。
会場に入ると最初に歴史年表があり現実世界の歴史とるろ剣世界の歴史が併せて書かれていました。少し進むと超美麗イラストがお出迎えしてくれます。完全版で使われていたので思い入れが深かったです。その後は和月さんからのメッセージ入り色紙。
メインゾーンでは「仲間とは」「正義とは」「強さとは」「命とは」「幸せとは」の五つのテーマに区切られていて、そこに原画が展示されていました。やはり生原画は最高だ。和月先生からのコメントも見どころでした。
仲間とは 剣心達、御庭番衆、志々雄と十本刀。仲間同士を結びつける絆や想い―
ここはキャラ同士の絆やつながりといったものがメイン。いきなり終盤の弥彦だったのには面喰いました。他には左之助と衝突する場面なんかも。京都編の決戦前夜がかなり好きです。巨人対超人での比古清十郎師匠の登場シーンは何度見てもかっこいい!「師匠を格好良く描けるかがこの話の最大のテーマ」だったそうです。
和月先生のコメント見てると「谷」「山」を意識されてるんだなと。剣心の京都への旅立ちの前には「山」を作って絆を盛り上げた後で「谷」で別れさせ。蒼紫の時はずっと闇落ちしている「谷」の後に激闘の中「山」へ持っていくと。実際蒼紫復活は熱かった。「勝っても負けても遺恨無し」のセリフは心に残っています。
敵サイドでは志々雄も。地獄に落ちた後由美も一緒でさらに方治もさらについていくというシーンは衝撃的でしたね。志々雄対閻魔大王はちょっと見てみたい(笑)。宗次郎もいいね。
正義とは 平和、欲望、力の誇示 立場は違えど闘うために抱く信念―
キャラの正義や信念といったものが格子の枠に囲まれて紹介。剣心はまず初回の「剣は凶器、剣術は殺人術」から「甘っちょろい戯れ言の方が好きでござるよ」までがありこれが作品を象徴するセリフであると。「残酷な部分もあるんだけど、明るい部分を見つめていたい」という和月さんの気持ちがあったそうです。斎藤はやはりかっこよかった。「悪・即・斬」をはじめ「壬生の狼を飼うことは誰にもできん」とか。左之助は男の背中編での「悪一文字」がいいんですよ。弥彦は守られる立場だったのが鯨波戦で一人前の剣客になっていた姿に感動。志々雄や宗次郎といった敵サイドも印象的。「所詮この世は弱肉強食」は志々雄が言うからこそ。
強さとは 剣を交えて生き様を表現する男達 極めた剣術の先にある、数々の激闘―
ここは数々の戦いの模様がたくさん飾られてました。まずは京都編から。剣閃の書き分けがすごい。数多くの技は少年時代にマネしてました(笑)。九頭龍閃の同時攻撃や天翔龍閃の超神速抜刀はさすがに不可能でしたが。志々雄戦の炎を思わせる赤い背景に飾られたのが印象的。宗次郎の速さを表現するには「見えない」がキーワード。志々雄に関して倒してスッキリする「悪役」ではなく主人公と並んで魅力がある「敵役」にしたかったそうです。
龍槌翔閃から龍巻閃九頭龍閃コンボのシーンは迫力大でした。新技を出すのではなく手数で押そうと思ったとか。そういえば龍鳴閃も新技だけど奥義よりは強くなかったもんな。弥彦も奥義は簡単に破れないから奥義って言ってたし。火産霊神(カグヅチ)は不発だからこそ迫力重視したとか。剣心対志々雄の描き下ろし絵も。
人誅編。縁が体術を操るキャラにしたかったというコンセプトが。そこから剣心対縁、弥彦真の戦い、威風堂々、最終戦と。縁への救いは生き残っている家族がいること。オイボレはいいキャラでしたね。きちんと救いを描きたかったそうです。
命とは 死線を潜り抜けた者達の死生観 次世代へと受け継いでゆく新しい未来―
生と死をフィーチャー。会場は赤い紐が印象的でした。安慈和尚は敵キャラでもかなり好きです。時代に翻弄された人の悲劇らしいです。逆刃刀・真打登場シーンもありましたし、なんと実物も飾られていました。茎の部分には「我を斬り 刃鍛えて幾星霜 子に恨まれんとも 孫の世の為」が刻まれていました。奥義継承の「俺はまだ死ぬわけにはいかない」の迫力。
縁最終戦での剣心の、「剣と心を賭してこの闘いの人生を完遂する!」それが拙者が見出した答えでござる!!には感動、まさしく「るろうに剣心」というタイトルコールでした。和月先生のコメントでは「ちゃんと言葉にしないと読者に伝わらないと思ったので、しっかりと描きました」。一方縁の「俺が唯一守りたかったものは既に貴様に…貴様に奪い取られている!!!」という魂の叫びも。すごい気持ちを込めたとか。
エピローグの剣心から弥彦への逆刃刀継承シーン。打ち切られたときは再び流浪人になるっていう話は読んだことが。剣心と薫が結婚するのは意外だったとか(笑)。
幸せとは 困難や苦難が立ちはだかろうともそれぞれの人にある幸福な想い―
こちらは柔らかで暖かな印象。操、由美、巴、薫といった女性陣が全体的に目立っていたかと思います。「一番想っている人を忘れる事の一体どこが幸せなのよ!」は操の代名詞かと。初見時に衝撃を受けた巴の最期のシーン、これ連載時は「これで良いんです……だから泣かないで下さいな…」だったけど単行本以降は「な」がなくなってるんですよね。「今風に言うと陰キャラ」という現代語入ったコメントまで。
剣心の旅立ちシーンは少年漫画らしくない大人さという『シティーハンター』の影響を受けたとも。へー。男性陣に目を向けると三島を諭す剣心や左之助と上下エ門の別れも。薫の告白シーンは日常パート感強かったせいか印象に残ってますね。縁戦あとのモノローグもエモい。最後は「ただいまでござる」でした。アニメのオープニングに触発されたという名カットです。
その後には連載中の北海道編も。永倉新八のデザインはいいですよね。主要人物集合シーンは二十七頭龍閃は大迫力。
最後には和月先生描き下ろしの山本五十六や画材たちも。ちょうど今『峠』やってるし河井継之助も見てみたい。
終わってからは物販コーナーであれやこれやをゲットしました。ちなみに八つ橋の箱の裏には宗次郎のメッセージはなかった(笑)。
と、本当に楽しかったです。割といま生きてると刺さることも多いですし初めて夢中になって好きになった漫画ということもあってるろうに剣心ってオレにとって特別な作品なんだなと思いました。